敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

「さて、私もお風呂に入ろうかしら」
「あ、おばあちゃん、お酒飲んだんだから長湯はダメだよ?」
「わかってるわよ。あまり長いようだったら倒れていないか様子を見に来てくれる?」
「もう、やめてってば」


軽くいなした七緒に孝枝が「ふふふ」と笑い飛ばす。今夜は本当に上機嫌だ。


「よいしょ」と掛け声つきで立ち上がった孝枝がバスルームに向かうのを見送り、七緒は二階の自室に向かった。

バッグに入れっぱなしだったスマートフォンを取り出すと、なんと聖から早速メッセージが届いていた。

【これからよろしくな、〝偽りの〟恋人さん】

たった一文だけの簡単なものを読んでクスッと笑みが零れる。偽りの部分を強調するように書かれたのは、別れ際に七緒が念押ししたからだろう。


「ちょっと変わった人だよね、聖さんって」


ひとり言をポツリと呟く。

自信に満ち溢れ、強引な人かと思えば紳士的な一面も。無職に傷ついていた七緒の気持ちをあっさりと軽くする優しい考えの持ち主でもある。
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