年下男子は天邪鬼
「なかなか美容院行く暇なかったから
今日は切ってスッキリしたわ。
ストレートパーマかけて癖っ毛とも
おさらばできたし♪」

美容院を出て前を歩く依子は
嬉しそうに声を弾ませた。

俺は複雑な気持ちで依子の後に続く。

「どうかな?
イメチェン成功したでしょ?」

ふいに依子はこちらを振り替えると
無邪気な笑顔を向けた。

俺はその笑顔にドキッと心臓を
鷲掴みされて押し黙る。


「....全然似合わない」


やっと出てきた言葉は
心と裏腹な言葉だった。


依子はむうっと膨れっ面になる。


その顔が小動物のように可愛いくて
思わず手を伸ばすと
依子の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜた。


依子は「せっかく綺麗にセットしてもらったのになんてことするのよぅ!!」と怒りながら手ぐしで自分の髪を整えている。

顔を真っ赤にして怒る依子を見ていると
ますます苛めたくなる。
こんなことを言ったら、
また真っ赤になって怒るんだろうな...

俺はククッと込み上げてくる笑いを
噛み殺す。

「よし!今日も俺の奢りだ!!
好きな服を買ってやるよ!!」

「えぇっ!?いいの!?
お金大丈夫??」

「俺は高給取りだから」

さすがに恐縮した様子の依子に
俺は任せろと言わんばかりに
胸を張った。


< 42 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop