夕焼けの恋
隣を歩く弥生が俺の選んだ服を着ている。

その状況にかなり緊張している俺を弥生が覗き込む。

そして、何かを察したのかイタズラっぽい笑顔で問いかけた。

「ね、光樹くんって、スカートの子好きなの?」

「あ、いや、…」

弥生が尚も見つめてくる。

「かもしれないですけど、弥生さんはそういうイメージだったから」

「そういうイメージ?」

「綺麗で清らかで、けどどこか儚いみたいな」

俺は何を言っているんだ。気づいたら勝手に言葉が滑り出していた。

急に弥生が黙り固まっているのに気づいて慌てる。

「すみません、気にさわりましたか?」

「いやなんていうか、…嬉しい」

ほんのり頬を赤らめて弥生が答えた。

俺も遅れて恥ずかしくなって互いに黙ったまま足を進めた。
< 27 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop