夕焼けの恋
俺は居づらくなって足早に弥生の方に向かう。

「行こっ!」

笑顔になって並んで歩く弥生を横目にとにかく外を目指した。

靴を履き替え昇降口を出た俺はようやく弥生に向く。

「弥生さん…教室まで来ないでくださいよ」

「だってちゃんと場所決めてなかったから。入れ違いになるよりはもう行っちゃったほうが早いかなって思って」

「弥生さんが来ると、目立つんです。…その変な誤解をする人もいるだろうし」

「変な誤解?」

この人はどこまでも自覚がない。

「だから、その、弥生さんと俺が付き合ってるとか…」

「あ、そういうこと…」

弥生は途端に照れたような素振りを見せて黙る。

その態度を可愛いと思ってしまって俺は誤魔化すように言葉を連ねる。
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