目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました
1. 病院搬送
梅雨の真っただ中。


道がぬかるんでいた。


それなのに連日の雨に疲れていたのと、うんざりしていたのとで、不注意に歩いていた。


あっ! と思ったときにはもう遅かった。


見事にズリッと足を滑らせてしまったのだった。


手に持っていた傘が宙を舞った。


ほんの一瞬だけ見えた。灰色の空に、お気に入りの赤色がよく映えるのが。


そして私は後頭部を強く打った。


底がない泥の沼に沈んでいくように意識を失いながら、私は思った。


制服が悲惨なことになっているんだろうな……


今日一日、『その制服どうしたの?』って聞かれるたびに、この恥ずかしい状況を説明しなければならないのか……


あーあ、みっともない格好で、憧れのあの人とすれ違いたくないなー。


たとえ向こうは私のことなんて見ていないとしても……


そうして私の視界は完全に真っ黒になった。

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