目が覚めたら憧れの峰崎くんと結婚することになっていました
3. 想い出話
ど、ど、ど、ど、同棲!?


その言葉のもつ大人な響きに焦る。


……って私は大人なのか。


いやいや、夕方までは大人だったかもしれないけれど、今はすっかり未成年なのだ。


「ユカコ、どうする?」

「どうする、って?」

「今からだと10時過ぎるけど、実家に帰ることもできるよ」


『実家』って、私の家のこと?


峰崎くんが微笑んだ。


でもその笑顔は痛々しくて……


実家に帰る、イコール峰崎くんと一緒にいることを拒否する、ってことになっちゃうんだ。


そんなこと、私にできるはずがなかった。


心を落ち着かせるために、ふーっと長く息を吐いた。


「峰崎くんがよければ、ここにいたい。私がいつも過ごしてた通りにしたいの。そのほうが記憶が戻る気がするし」


峰崎くんは同じ笑顔のままだったけれど、痛々しさが取れて心底嬉しそうに見えた。


はあー、つくづく7年後の私が羨ましーい。


峰崎くんをこんな、しあわせそうな笑顔にしてあげられるなんて!

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