シンデレラは王子様と離婚することになりました。

闇に引きずられる彼女


「好きな女性と結ばれたからって、遅刻してくるなんて、恋を覚えたての高校生みたいなことしますね」

 晴れ晴れとした表情で午後出勤した俺は、高城から痛烈な嫌味を投げられるも、痛くも痒くもなかった。

「妬むな、人の幸せを」

「妬みとかじゃなくて、スケジュール調整するこっちの身も考えてくださいって言ってるんすよ。給料上げてください」

「いいぞ、上げてやる」

 さらっと言った俺の言葉に驚きながら、大輪の花が咲くようにパアーっと笑顔になっていく高城。わかりやすい。

「さっすが社長! 今日はこうなることを見込んで、すでにスケジュール調整は根回し済みでございます」

「悪いな」

「なにをおっしゃいますか。社長の我儘にこたえることがわたくしの務め。いくらでもイチャイチャしちゃってください」

 給料上げると言った途端にこの変貌。

社長秘書でこき使っているので、そもそも高い給料は支払っているが、高城はとにかく金遣いが荒い。

これは、ギャンブルですったかなんかしたな。
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