シンデレラは王子様と離婚することになりました。

最後に君を思い出す

どこに行くかなんて、決めて家を出たわけじゃない。

 どうするかなんて、私が聞きたいくらいだ。

 ただ、逃げたい。この状況にいることが息苦しくて、なかば衝動的に家を出た。

 外は明るく、太陽の光が眩しかった。

 昨夜はもう、死んでやろうと思った。でも、朝が来たら、やっぱり死にたくないなって思った。

 死にたいわけないよ。死にたくなんかないよ。

 でも、どこに行けばいいのか、どうすればいいのかわからなかった。

 なにも考えずに家を出ると、自然と足が動いた。

 大翔の家? それとも会社?

 どちらも違う。そこは、私が行っていい場所じゃない。

 今、私が行きたい場所は……。

 昔の光景が思い浮かび、そこに向かって歩き始めた。まずは、駅に向かう。

 電車に乗って向かう先は、八王子。

お母さんが生きていた頃、住んでいた場所。幸せだったあの頃。
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