シンデレラは王子様と離婚することになりました。
あの日、俺は死に場所を求めて八王子駅に来ていた。
どうして八王子だったのか。たまたま終着駅が八王子だったからだ。
そして、八王子で自殺できそうな場所を携帯で調べて滝山城址に辿り着いた。
滝山城址のことはよく知らない。たまたま検索がヒットしただけだ。
山道の階段を登ると、すごく嫌な気配がした。
死者が手招きしているような錯覚がして、身震いする。
頂上に着くと、広大な草地が太陽に照らされていた。
明るく開放的な場所だったのに、俺は不気味に思えてならなかった。
おそらく、滝山城址は心霊スポットで有名というネット記事を読んでしまっていたからだろう。
ここでたくさんの人が亡くなったという歴史を考えると、土塁や井戸の見方も変わる。
その頃の俺は、生きていること自体が苦痛だった。
自分の未来は、すでに生まれ落ちた瞬間から決まっていた。
俺は跡取りとして誰よりも優れていなければいけないし、失敗なんて許されない。
両親の死に方は強烈だったし、学校に行けば生意気だのなんだのと難癖をつけられていじめられた。