シンデレラは王子様と離婚することになりました。

シンデレラの新しい結末

大翔に救出された私は、大翔の腕の中で昔の記憶を思い出した。

 自殺しにやってきたという、ちょっと生意気な男の子。

どうして忘れていたんだろう。私の初恋の相手だったのに。

 あれから辛いことがあっても、あの子も頑張っているんだから、自分も頑張ろうと思って踏ん張ってきた。

 でも、どんどん記憶が薄れていって、大好きだったお母さんとの思い出も、優しかったお父さんの姿も、そして初恋だった男の子すら思い出せなくなっていた。

「大翔、私、どうしてこんな風になっちゃったんだろう」

 大翔の顔を見上げながら、自然と涙が零れていた。

「私、昔はもっと強かったのに」

 涙が溢れて止まらない。

『意地でも死んでやらない』と言ったのは、私だったのに。

『自分の力で幸せを掴み取ってみせる』って大口叩いておいて、今度は私が死のうとしていたなんて。

「弱くていいんだよ、俺が守るから」

 そう言って、大翔は私を優しく抱きしめた。
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