シンデレラは王子様と離婚することになりました。
 こんなに時間がかかったのも無理はない。

見つけた場所は九州の田舎町だった。

住み込みで、大手工場の製造業をしていた。

 高城と二人で会いに行ったら、日焼けをし、筋肉もついて別人のような顔付きになっていた。

最初は下働きが多く、肉体労働が主できつかったが、仕事ぶりが認められて現場リーダーに抜擢されたらしい。

仲間もできて充実していると言っていた。

 だが、ここにいることは誰にも言わないでくれと頼まれた。

捺美にも伝えるなと言われた。

もう捺美を苦しめたくないんだと悲し気な表情で言っていた。

 捺美のお父さんはお父さんで、長年苦しみ続けてきたのかもしれない。

 お父さんに会う前に、捺美の義母と義姉と直接対決していたので、あいつらのヤバさは骨身に染みている。

言って理解してくれるような輩じゃないし、そもそも会話にならない。

 捺美のお父さんは、自分の人生を歩み出した。

もう彼は捺美を傷つけたりしないと思った。いつか、捺美に教えてあげたい。


お父さんは頑張っているよと。
< 278 / 283 >

この作品をシェア

pagetop