ヒミツの王子様は隠れ歌姫を独り占めしたい
3曲目「独占欲」
「一緒に帰ろう、りっかっちゃん」
「!?」
HRが終わり帰り支度をしていると、机の前に満面の笑みをたたえた妹尾くんが現れてびっくりする。
皆の視線がこちらに集中するのがわかって私は慌てて立ち上がった。
「や、私急がないといけないから! じゃあっ」
「待ってよ、りっかちゃーん!」
その視線から逃れるように私は教室を出た。
……きっと、いや絶対、羽倉くんにも見られたはずだ。
(も~勘弁して~~)
「待ってってば、りっかちゃーん」
校門を出たところで、流石に私は立ち止まり振り返った。
キっと精一杯怖い顔で妹尾くんを睨みつける。
「あの、私付き合うなんて言ってないし、こういうの困るんだけど。これから、保育園に弟たちを迎えに行かなきゃいけないから」
「あぁ、そっか。りっかちゃん兄妹がいるんだっけ。俺も会いたいなぁ」
「は!?」
「ついて行ってもいい?」
「いやいや、弟たちびっくりするから!」
背を向け歩き始めるも妹尾くんはまだついて来る。
「ついて来なくていいから!」
「♪」