溺愛幼なじみは甘くて強引
待てど暮らせど、理央はキスをしてこなかった。

不思議に思って「ん?」と片目を開けた、その時。


ちゅっ――と。

ほっぺに軽く、キスされる。


「ひゃう!?」

「今日は、ここまで」

「え、ここまでって……」


理央は私から離れて、ベッドに腰かける。

そして「ふぅ」と。どこか疲れた様子で、ため息をついた。


「理央……キスは?」

「ん?したよ。今」

「でも、ほっぺだよ?」


不満がる私に、「そうだね」と理央が笑う。


「口にしてくれないの?」

「……うん。しようと思ったけど、やめた」

「え」


や、やめたって。そんな急に……。

ってか、やめれるんじゃん!


「自制心が効かなくなるから~」のくだりはなんだったの?

理央、ちゃんと自分を制御出来てるじゃん。


もう!私をお子様扱いしてー!


しょんぼりしながらベッドに近づき、理央の隣に腰かける。

その時、理央が「無防備だね」と呟いた声に、私は気づかなかった。
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