溺愛幼なじみは甘くて強引
「はぁ……」


もう何度目かになるか分からないため息をついた、その時。


「――っく、うぅ」


浴室の中から、南月の泣き声が聞こえた。


「南月?」


IHのスイッチを切り、浴室へ向かう。決してドアを開けないぞと、心に決めて。

だけど、南月の次の言葉を聞いてしまった俺は――

簡単に、その決心を崩した。


「理央の事を好きなのに……。私のバカぁ」

「――っ」


きっと俺が次にする行動も、南月にとっては恥ずかしいし、まだ早い事なんだろうな。

だけど、許して南月。

好きな人が俺の事で泣いているのが分かっているのに、聞こえなかったフリをするのは……


どうしても、出来なかったんだ。


コンコン


「ねぇ、南月――」



*理央end*

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