エリート同期は独占欲を隠さない
「面白いよな、市ヶ谷って……って、お前、なにニヤついてんだよ。きもっ」
「うるせ」
明智に突っ込まれ、慌てて風呂に飛び込んだ。
すっかりこじらせてしまっている自覚はある。本命には手を出せないというあの気持ちが、今ならよくわかる。
でも、このままでいいはずがない。未尋は嫌われたと思い込んでいるわけだ。せめて誤解は解かなければ。
できることなら、桐谷のことをどう思っているか知りたい。少しでも可能性があるのかどうか、探りたい。
前言撤回だ。
(――この旅行を、思う存分利用させてもらう)