エリート同期は独占欲を隠さない

「面白いよな、市ヶ谷って……って、お前、なにニヤついてんだよ。きもっ」
「うるせ」

明智に突っ込まれ、慌てて風呂に飛び込んだ。

すっかりこじらせてしまっている自覚はある。本命には手を出せないというあの気持ちが、今ならよくわかる。

でも、このままでいいはずがない。未尋は嫌われたと思い込んでいるわけだ。せめて誤解は解かなければ。

できることなら、桐谷のことをどう思っているか知りたい。少しでも可能性があるのかどうか、探りたい。

前言撤回だ。

(――この旅行を、思う存分利用させてもらう)


< 22 / 74 >

この作品をシェア

pagetop