Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜

「ちなみに、見合いはいつどこでするんだよ？」

ヨハンが訊ね、桜士は頭の中にすでに入っている日付けと場所を言う。安藤警視正の旧知の娘とのお見合いは、日曜日にとある料亭で行われる。

「その料亭って確か、芸能人御用達のところじゃなかったっけ？前にネットで見たことがあるよ」

オリバーが言うと、アルフレッドが「懐石料理がおいしいんだっけ。ああいう堅苦しいのよりこっちの方がおいしいと思う」と苦笑しながら言う。

「そんなところを指定するということは、向こうはものすごく張り切っているんだろうな」

リティクが日本酒を飲み、渋い顔を見せる。桜士も同じことを考えていたため、「そうだな」と頷く。相手の女性のことは何も知らないが、恐らく本気なのだろう。断った後の修羅場を想像すると、桜士の胃がキリキリと痛み出した。

「まあ、大抵は「好きな人が本当はいる」って言ったら引き下がると思うけど、もしも本田先生の上司が何度も振られていることを話してたら厄介だよね」