Cherry Blossoms〜あなたに想いの花束を〜

桜士が言葉を返そうとした刹那、「もういい加減にしてよ！！」と瞳が大声を出す。泣きながら彼女は父親を睨み付けた。

「病気になったことは仕方ないことだって先生が何度も言ってたじゃない！何で、そのことをずっと責め続けるの？お父さんより辛いのは私なんだよ？乳がんだって言われて、胸をなくして、お父さんにずっと責められて……。同じ病室にいた同じ病気の人は、いつも家族が心配してお見舞いに来てたよ。でも、お父さんは違うよね。いつも私のこと悪く言ってた。私の心配なんてしてくれなかった。……手術が終わってもこんなに辛いなら、手術しないで死んだ方がマシだった」

部屋に瞳の泣き声が響く。これは、彼女がずっと胸の中に溜めていた悲痛の叫びなのだろう。桜士も口を開く。

「速水さん、がんは日本人の二人に一人がなる病と言われています。誰がいつ発症してもおかしくない。あなたは、病気になった時に同じことを言われて平気ですか？傷付きませんか？」