1時、夜夜中が手招くから

夜を飾るために星が幾つも流れる。



ぼんやりした半透明を集めた光は星雲と呼ぶんだと目の前の男が昔言っていた。



教室はこんなに広かったか、こんなにも寝心地の悪い机でよく授業中眠れてたな、とか、思うことはあるけれど。



...なんだ、泣くんじゃないかと思ってたのに。



涙を浮かべてくれれば、慰めてあげられたのに。そうしたら、私は泣かずに強がっていられたのに。



心臓の音はしないくせに、手の温度もないくせに、涙は頬に伝うのだ。



ぼやけた視界で無理やり目を合わせる。ヒマリがどんな表情を浮かべているのかわからなかった。



「あのねえ、ヒマリ」


「なあに、ハイロ」


「言い忘れたことがあって」


「...聞かない。何言ったって今更何も変わらない。僕達、今更どこにも戻れないだろ。」



ため息と同時に諦めを含む言葉を零す。ヒマリは耳を塞ぐように閉まった扉へと歩き出した。
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