恋してはいけないエリート御曹司に、契約外の溺愛で抱き満たされました


「こんにちは。お待たせしました!」


 とろみ素材のベージュのボウタイブラウスに、ブラックのミディアム丈フレアスカートを身に纏ったお義母様は、今日は胸下まである黒髪を下ろしている。

 私と直接対面しても無表情のまま、「お邪魔するわ」と玄関扉の内側に入った。

 来客用のスリッパを出しそびれていたことにすぐに気づき、冷や汗をかきながらスリッパを用意する。


「どうぞ、こちらです」


 先導してリビングへと向かい、ソファー席に案内した。


「今、お茶を用意させていただきます」

「いらないわ。お構いなく」


 煎茶か紅茶か、どちらがお好きか伺う前に提供を拒否される。

 それでも、なにも出さないわけにはいかないと思い、キッチンに入ろうとした背中に「かけてちょうだい」と声が刺さった。

 もしかしたら、急いでいるのかもしれない。用件だけ話して帰りたいのなら、お茶を出される時間も惜しいだろう。

 お義母様の声に従って、ソファーに腰を落ち着ける。

< 223 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop