目に視えない私と目が見えない彼


「・・・・・・あれ?誰もいない。誰かが消し忘れかしら?」


ペコリと頭を下げてパソコン室を後にした。

生前だったら絶対に捕まっていたシチュエーションでも、幽霊の今の私は捕まることはない。



「思わずドキドキしちゃったけど、私の姿は視えてないんだから、捕まることはないんだよね」


授業の時間なので、誰もおらずシンと静まり返った廊下を小走りで走った。


"網膜色素変性症"

まだまだ分からないことだらけだけど、少しだけなら理解できた気がする。

何かできることはないかな?
その想いが強くなった。
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