目に視えない私と目が見えない彼

「あははっ」


生徒の笑い声と足音が近づいてくる。誰かにい見られたら、来衣先輩が一人でしゃべってて変な人だと思われてしまう。


「…来衣先輩!迷惑なんです!私を探さないでください」

嘘だった。見えない私を探し出してくれる来衣先輩にどれだけ救われたか。どんなに嬉しかったか。伝えたい。だけど、この気持ちを伝えるのは自分がすっきりしたいだけの、身勝手な行動だと思った。

好きです。
私はあなたが好きです。

好きだから、自分の気持ちを押し殺して嘘をつきます。

本当にあるんだね、自分よりも相手のことを考えることって。
知らなかった。好きになると、自分以外の人が大切に思えるなんて。
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