目に視えない私と目が見えない彼

ぽつんぽつんと雨が屋根に落ちる音が聞こえた。
さっきまでは、降ってなかったのにな。

窓の外を見ると、まるで私の心を表すかのように雨が降り出していた。
窓を閉めていても、次第に雨風が強くなっていくのが分かった。

来衣先輩、傘は持ってるかな。
雨の中、白杖を使って転ばないだろうか。

雨が強くなってきたらさすがに来衣先輩も諦めて帰るよね。

そうだよ。きっと、大丈夫。

雨が降ってきても自分でなんとか帰れるよね。
心配で仕方がなかったが、自分を納得させるために頭の中で繰り返し唱えた。

そうでなければ、私の足は来衣先輩の元へ向かってしまうから。
これでいいんだ。そう思うのに、来衣先輩のことが頭から離れてはくれなかった。




『・・・・・・来るまで待ってるから』
最後に放たれた言葉を思い出す。



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