目に視えない私と目が見えない彼
「お母さんってば、酷すぎる!未蘭さんは泊まるからね!もう、杏子の部屋に行こう?」

「……うん」

ほっぺをぷくっと膨らませて私の代わりに怒りを最大限に表してくれた。杏子ちゃんの部屋に移動した後も、杏子ちゃんは、ぶつぶつと不満を漏らしている。

私は文句を言える立場ではないけれど、霊媒師のお母さんに消されてしまうのではないかという不安が強くなった。

「未蘭さん!大丈夫だから。また後でお母さんにちゃんと説明するからね」

「杏子ちゃん、ありがとう」

わかりやすく動揺している私に優しい声をかけてくれる。杏子ちゃんには感謝しかなかった。
< 190 / 256 >

この作品をシェア

pagetop