目に視えない私と目が見えない彼
その日は、ずっと二階にいたため、お母さんと鉢合わせをすることはなかった。堂々とお泊まりをして守護霊代行の任務を行う。

来衣先輩の部屋で寝るのは不自然なので、杏子ちゃんの部屋で寝るという建前にして、みんなが寝静まったころ、壁をすり抜けて来衣先輩の部屋に侵入した。

初めて入る男の人の部屋に、ドキドキと変に緊張してしまう。

ベッドで眠っている来衣先輩の寝顔は綺麗で、ずっと見ていたい衝動に駆られた。

彼が眠っているのをいいことに、顔を近づけて至近距離で見つめる。

———本当に綺麗な顔。

いつまでも綺麗な顔を見つめていたいと思った。


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