目に視えない私と目が見えない彼
窓の外は暗闇に包まれ、部屋の照明の電気は消えている。窓から差し込む月の淡い光のおかげでほんのりと薄暗い。私は来衣先輩の部屋にいた。


「さっきまでの威勢はどこにいったの?」

「へ?・・・・・・い、いや、えっと」

「24時間近くで見守るんだろ?」

「そ、そうですけど、これは例外というか」

「お風呂も覗き見しておいて?」

「い、いや、でも、同じベッドに入る必要はないかと」

薄暗い部屋で、同じベッドに入ることを強いられていた。至近距離に来衣先輩のぬくもりを感じて心臓はバクバクと高鳴り続けている。

…だ、だめだ。こんな近くにいたら、ドキドキで心臓が破裂しちゃいそうだよ。
勢いよく起き上がるとベッドから離れた。

「ははっ、トイレまでのぞき見されたから、ちょっと意地悪した」

「……のぞき見じゃないです」

「同じベッドに入らなくていいから、話が尽きるまでしゃべろうぜ」

「…はい」

何時間話していただろう。話したいことは次々と出てきて、尽きることはなかった。

窓から差し込む月の光が、来衣先輩の顔をうっすらと照らす。その顔を飽きることなく見つめていた。
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