目に視えない私と目が見えない彼



ピピピ、ピピピピ、


田口先生のスマホのアラーム音が鳴り響く。
その音量のでかさに、身体がビクッと反応した。



田口先生に視線を向けると、まだいびきをかいて眠っていた。

アラームが部屋中に鳴り響いているのに、まだ起きないなんて・・・・。

起きないことを見越して設定していたのか、アラームはどんどん大音量に変わっていく。




「・・・・アラーム音、うるさっ」



部屋中に鳴り響いて、私の耳が悲鳴を上げている。
さすがに爆音のアラーム音に目が覚めたようで、体をゆっくり布団から起こした。


結局、田口先生が眠りから覚めたのは7時半で、通勤に間に合うのかな、とこっちが心配になるほどだ。

朝に弱いのか、普段以上に眉間に皺を寄せていて顔が怖い。絶対関わりたくないタイプの先生だ。


「・・・・・・今日もだりいな、」


発した言葉は、口調も荒く言葉遣いも悪い。
期待を裏切らない言葉だった。関わりは薄いけど、思った通りの人間性のようだ。



「…あれ?なんか部屋綺麗になってね?」


まずい、部屋が綺麗になってることにすぐ気づかれた。
私の存在がバレてしまうかもと、心臓がバクバク波打つ。



「俺、昨日掃除したっけな?偉いじゃん。俺。」



・・・・・・バレなかった。
有り難いことに自分の都合の良いように勘違いしてくれた。先生は全く掃除してないけどね。


大人の男の人の準備は早かった。
田口先生は、ご飯を済ませると着替えをして身なりを整えて、家を出た。



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