目に視えない私と目が見えない彼



大河先輩は一軒家に住んでいた。
今、私は家の中を見回って大河先輩を探している。階段を登って2階に到達すると、1番奥の部屋のドアに『大河』と書かれたネームプレートが飾られていた。

ここが大河先輩の部屋かあ。
わかりやすくて、すごく助かった。


スッとドアを通り抜けると、インクの匂いが鼻についた。


「・・・・・・絵がいっぱい飾られてある」



テーブルに置かれてるのは、油彩道具かな?
たくさんの筆や絵の具が乱雑に置かれていた。

もしかして、大河先輩も美術部なのかな。


部屋に飾られた絵画は綺麗な絵だった。
綺麗だけど、来衣先輩の絵と比べると・・・・・。
その時、頭を過ったのは初めて喋った時に見た、来衣先輩の絵画だった。


あの時の衝撃は、時間が経った今も忘れられない。
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