契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
ミクはドキドキ言ってる胸を押さえて、深呼吸をした。

見てはいけないところを見てしまった。

省吾さんには恋人がいたんだ。

でも、どうして恋人と結婚しなかったの?

そういえば、あの女性、どこかで見たような……

辰巳グループの取引先のお嬢さんだ。

そういえば、以前、留学すると言っていたっけ。

留学から戻ったら結婚するの?

えっ、私はそれまでの代役ってこと。

そうか、それなら全てが繋がる。

だから、食事もいらない、ベッドも部屋も別なんだ。

ミクは自分の部屋に駆け込んだ。

すぐ、あとから省吾が帰ってきた。

「ミク、ただいま」

省吾はキッチンで食事の支度が途中であることを確認すると、すぐにミクの部屋をノックした。

「ミク、具合でも悪いのか」

ミクは顔を合わせて、平常心を保てる自信がなくて「はい」と答えた。

「大丈夫か」
「少し横になっていれば大丈夫です」

「そうか」

ミクはベッドに横になり、ウトウトと眠ってしまった。

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