契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない
「大丈夫だよ、それだけ、俺に気を許してくれているってことだろう」

「でも……」

省吾は立ち上がり、ミクに近づいた。

ミクの腕を引き寄せ抱きしめたい。

省吾はミクの耳元で囁いた。

「ミク、俺はパンケーキ食べないけど、それでもいいならまた行こうな」

なんて優しいんだろう。

自分の苦手なものは、香りも苦手な人が多い。

ましてや、パンケーキが苦手って、甘い香りや店の雰囲気など、足を運ぶことを

しないのに、省吾さんはまた行こうなんて、私に付き合ってくれるってことだよね。

元彼は一人で行けよと一緒に行ってくれたことがなかった。

ミクは省吾に惹かれて行った。

恋人がいるのに、ダメだよね、好きになっちゃ。

このまま、時間が止まってしまえばいいのにとミクは願っていた。

そんな幸せは続かなかった。

ある日、マンションのインターホンが鳴った。

誰だろう。

画面に映し出されたのは、省吾の母親だった。

嘘、お母さん。

「お邪魔するわね」

「省吾さんは仕事ですが……」

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