幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
第九章 眩しすぎる世界
大学が夏休みに入り、朱里はいくつかのインターンシップに参加した。

幼稚園の夏期保育やお泊り会、地域の子ども達のサマーキャンプなど、多くの子ども達と触れ合う中で、自分の将来携わりたい仕事を考える。

部屋でレポートをまとめていたある日の夕暮れ、外から瑛の声がした。

「朱里ー、いるかー?」

朱里は窓を開けて返事をする。

「なーに?」
「今さ、バーベキューしてるんだけど、お前も来るか?」
「バーベキュー?!」
「ああ」

ふと桐生家の庭先に目をやると、雅や優、瑛の両親や菊川が手を振っていた。

「朱里ちゃーん、おいでよー!お肉、たくさんあるわよ」

雅の言葉に、朱里はコクコクと頷く。

「行きます!すぐ行きます!待ってて、お肉!」

パタンと窓を閉めると急いで階段を下り、玄関に鍵をかけて走り出す。

屋敷の門を開けて、菊川が待ってくれていた。

「朱里さん、こんにちは」
「こんにちは!」
「ふふふ、凄い速さでしたね。ワープして来たのかと思いました。さ、どうぞ」

庭のテラスに大きなテーブルがあり、千代や他の使用人が次々と野菜や肉を焼いていた。

「わー、いい匂い!」

朱里は皆への挨拶もそこそこに、鉄板に吸い寄せられる。

「朱里お嬢様、たんと召し上がれ!」

千代が料理を盛り付けた皿を差し出してくれた。

「ありがとう!いただきまーす!」

大きな肉を頬張り、美味しい!と目を輝かせると、瑛の母が笑い出す。

「朱里ちゃん、本当に美味しそうに食べてくれるわね。さあ、まだまだあるから、たくさん食べてね」
「はい!ありがとうございます」

その時、あーちゃー!と優がヨチヨチやって来て、朱里にペタッと抱きついた。

「優くーん!今日もかーわいい!ね、一緒にマシュマロ焼かない?」
「マ…シュ…?」
「そう、マシュマロ!ふわふわでとろとろなんだよー」

朱里は優を抱き上げると、片手で千代が渡してくれたマシュマロの金串を焼く。

「ほらね。ふにゃーってしてきたでしょ?」
「ふにゃー」
「うふふ、そうそう。美味しくなーれ!」
「なーれ!」

いい色に焼き上がると、朱里は良く冷ましてから優の口に運ぶ。

パクっと優はマシュマロにかじりついた。

「どう?美味しい?」
「ん!」

優は大きく頷いて、また口を開ける。

「よく食べるね、優くん。はい、アーン」
「アーン」

美味しそうに頬張る優に、朱里はにこにこと微笑んだ。
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