【SR】だるまさんが転んだ
長い人生、何処で何が役に立つかなど誰にも分からないものだと、俊介は改めてそう思っていた。


俊介がそんな事を再認識している中、トラックはゆっくりとスピードを落としていく。


完全に停車したのを見て、俊介は荷台から身を乗り出した。


日本よりも十度近く高い気温に熱せられ、首筋をすり抜けていくそよ風は熱風と名を変えている。


帽子の下に巻いたタオルで、流れてきた汗を拭った。


俊介が自然と顔を顰めたのは、茶色一色の風景に変化がなかったからでは無い。


ただ、頭上に居る太陽が眩しかったからだ。


尻に敷いていたリュックを持ち、俊介は顔を顰めたままトラックの荷台から降りた。


モーターだけを付けた木製の小舟に乗り、国境を越えた反政府側が多く居る町までの運んでくれるという契約は、トラックの停車で終わったと告げているのだ。


辺りを見回す前に、隣の国の首都で買った巻き煙草をポケットから出し、一緒に買ったマッチで穂先を炙った。
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