【SR】だるまさんが転んだ
「昨日シュンスケに話した、内戦が終わっているという事実も、この国では限られた人間しか知らない事だ。」


「ヴェンは限られた人間と言う事か?それは何故な…。」


「俺が多くの人間を殺したからだ。政府側の人間も、仲間も、母親も…。」


俊介の言葉はヴェンに遮られ、そのまま後輪が巻き上げる砂煙の中に消えていった。


「俺が未だチャオミンぐらいの時だった。家に帰ると、母親が反政府側の仲間達に陵辱されていた。この国ではそんなに珍しくない事と言っても、それを無視出来るはずがない。奴等が持っていた銃で、その場に居た全員を殺したよ。奴等は俺が子供だと侮っていたから、それほど苦労はしなかった。」


ヴェンの口から淡々と語られてはいるが、俊介はその淡々とした口調に恐怖を感じた。


「…でも、何故母親も…。」


「もうこんな国で生きていくのは嫌だと、死んだ方がマシだと…血と涙、それに精液混じりの身体で殺してくれと懇願されたからだ。」


ダルコに連れ去られ、飽きて捨てられ、内戦でチャオミンの父親を亡くし、大勢に陵辱された…。


生きる意味を見失うにしても、十分すぎる理由だった。
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