隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
トラブル発生
ホテルにとってはかき入れ時の夏休みがやっと終わった8月末日。
気が付けば優也さんの勤務も研修期間の半分が過ぎていた。
ズルズルと先延ばしにしていた食事の約束もそろそろ果たさなければいけないなと思っていた矢先、一条プリンスホテルで事件が起きた。

「一体どうなっているんだ」
「申し訳ありません、ただいま調査中です」
絞り出すような声で話すお兄ちゃんの前に、難しい顔をした隼人が立っている。

「報告はいつもらえる?」
「事実関係の確認は今日中にできると思います。しかし、原因が何かと言われるとさらなる調査が必要になります」
「そうか。まずはお客様に被害が出ていないかの確認を一番に頼む」
「はい」
隼人は真剣な表情で深く首を垂れる。

夏休みも終わりホテルも秋の行楽シーズンに向けてシフトチェンジをしていたこのタイミングで起きたのは、ホテルのレストランで提供された食事に異物が混入していたとの報道。
その発端は数日前に上がったネットの投稿記事だった。
< 110 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop