隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
2人の関係
お兄ちゃんに頼まれた仕事をなんとか時間内に完成させ、その後買い物をして、私は7時半に隼人のマンションへとやってきた。
ここで会うときは隼人の仕事が早く終わった日が多くて、私がこの部屋で隼人を待つことはあまりない。
そう言えば、今は上半期の決算を控えて忙しい時期だし、隼人だって残業が続いている。
きっと疲れていることだろうに、なぜ今日私を誘ってくれたんだろうか。
純粋に会いたかっただけだとしたらうれしいけれど・・・

ピコン。
メッセージの着信。
『悪い、川村さんの残業に付き合っていてもう少しかかりそうだ。あと一時間くらい終わると思うから』

「ええー」
私は一人で声を上げた。

おそらくこれは川村唯の作戦で、隼人に近づくための行動だと思う。
隼人のことだから簡単に騙されるとは思わないけれど、やはり不安だな。

8時・・・9時。
メールが一度あったきりで、隼人からの連絡はないまま時間だけが過ぎた。

「いつ帰ってくるのよ」
誰もいない部屋でつい愚痴が出る。

こんな時、恋人同士ならメールや電話をするのかもしれない。
しかし、私たちはそんな関係ではないし、私自身そんなにかわいい女でもない。
きっと川村唯なら、可愛く甘えていることもできるのでしょうね。
「はぁー」
そんな事を考えていたらため息が漏れた。
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