琥珀色の砂時計
 あなたが我が家にやって来た日は、わたしの六歳の誕生日だった。

 両親からのバースディ・プレゼント。

 あなたはまだまだ小さな掌サイズの……ケヅメリクガメの赤ちゃんだった。

 茶色い甲羅がとても綺麗で、「この色、石に例えたら何?」って地質学者の父さんに尋ねたの。そしたら「そうだなぁ、しいて言えば『琥珀』かな?」って。

 その時決まったんだよ。あなたの名前は『こはく』って。

 わたしの名前『めのう』と同じ、石の名前にしたかったから。



 それから十二年、ずっと仲良く暮らしてきたじゃない。

 モリモリ野菜を食べて、あなたの身体はグングン大きくなって、甲羅もドンドン丈夫になって、気付けば持ち上げられない程の重さになってくれたのに。

 どうして、どうして、どうして……!!

 腎不全だなんて……人間と同じで腎臓は二つあるのに、どっちも壊れちゃったなんて……人間だったら移植や透析で生きられるのに!

 分かった時にはもう手遅れで、あなたは段々食べられなくなって、徐々に甲羅を持ち上げて歩けなくなって、それでも半年頑張ってくれた──それが昨年の今日。


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