新くんはファーストキスを奪いたい
06. GW、明けて



 何かとバタバタ急ぎ足だった四月が終わり、世間はゴールデンウィークを満喫している。

 連日ニュースに取り上げられる観光地や渋滞情報も飽き始めた、連休最終日の正午。


 鞠は滝谷高校の体育館で、先ほど練習試合に使用したバスケットボールを磨いていた。

 その隣で同じ作業をしていた唯子が、眉を下げて話しかける。



「鞠ちゃん、今日は本当にありがとね!」
「ううん、どうせ暇だったし……」
「先輩マネが旅行中で、私一人で練習試合の準備するところだったから助かったよ〜」



 話は遡って昨日の夜。

 特に予定もなく家でゴロゴロ連休を過ごしていた鞠のスマホに、突然北斗から電話がかかってきた。


 その内容は、急遽入った明日の練習試合でマネージャーの手伝いをして欲しいというもの。

 通常は二人のマネージャーが選手のサポートや準備をしてくれる中、
 人手が足りなくて、北斗は幼馴染の鞠を頼って連絡してきた。


 マネージャー経験のない鞠だけど「唯子が簡単な作業を割り振ってくれるから」と懇願されては、断るのも心苦しくなる。

 仕方なく承諾すると、集合時間を伝えられて電話を終えようとした。

 その際に北斗が「鞠は連休中も家でゴロゴロしてると思ってたんだよ」と余計な一言を添えたので、
 本日、鞠は北斗のことをずっと無視している。



(あ、なんかむかついてきた……)



 腹立たしい経緯を思い出して表情を歪めた鞠。
 そこへ練習試合後に軽くグラウンドを走っていたバスケ部員、総勢25人が汗を滲ませて体育館に戻ってきた。

 各々が水分補給とタオルで汗を拭き取り休憩している中、首にタオルをかけた北斗が鞠と唯子の近くに腰を下ろす。


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