非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
 昨日今日で起こった様々な出来事が、頭の中にゆっくりと浮かんでは消えていった。

 借金取りに脅され、店長には厄介者扱いされた自分が、仕事をもらい、今こうして安心して眠ることができる場所まで与えられている。


「湊斗さんが、拾ってくれたおかげだ……」

 ベッドサイドに腰かけると、適度な弾力と揺れが身体に伝わり、一毬をさらに眠りへと誘った。

「こんなに気持ちいい部屋で、眠れないなんて……よっぽどのこと……? 何か私にできることって……あるのかな……」

 一毬はそんな事を考えながら、うつらうつらと身体を揺らし、いつの間にか柔らかいシーツに包まれるように深く眠りに落ちていた。



 夢の中で温かいぬくもりが一毬を包みこんだ。

 あぁ、なんて幸せなんだろう。

 こんな気持ちは初めてだ。

 ずっとこのまま、この幸せに包まれていたい。


 一毬は手を伸ばすと、そのぬくもりを離さないように、何度も何度も手繰り寄せた。
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