聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!


「せ、せんぱ…!」


「不意打ちでごめん。あまりにも嬉しすぎた。」


満面の笑顔で微笑む矢嶋を、菜々は真っ赤になって見つめた。


「1個、食べていい?」


「ど、どうぞ。」


菜々が顔を真っ赤にしたままそう言うと、矢嶋は嬉しそうに1つ頬張った。


「うまっ。」

 
矢嶋が嬉しそうに笑って言った。


「本当に…?」


菜々が自信なさげにそう尋ねると、また矢嶋の顔が菜々の顔に影を落とした。


唇が触れ、トリュフチョコの甘い味もした。


何度も、何度も、角度を変えて、唇を重ねる。


「…ね?うまかっただろ?」


「…はい。」


真っ赤になった菜々を見て、愛おしげに顔に触れる矢嶋。


矢嶋の指が触れるところが熱くなる。


「…先輩?」


「ん?何?」


「好きです。」


「俺も。…でも、それはもう聞いたなぁ。他のちょうだい。」


「え!?」


「え、他にないの?」


以前、やり取りしたメッセージを思い出させるような会話。


菜々は、嬉しくなって満面の笑顔で矢嶋に言った。


「矢嶋先輩、大好き!」


そしてまた、二人の顔は重なった。


何度も、何度も…。

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