推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~

第8章~初デート~前編

○終業式終了後。学校の下駄箱置き場。


時間は朝11時。暑い日差しが差し込む学校の出入り口。
下駄箱で靴を履き替えている生徒達が溢れていて、あちこちで「ばいばーいっ」「また連絡するねーっ」と明日から夏休みということで、テンションの高い声が聞こえてくる。


穂香は航太と教室からここまで一緒に来て、靴を履き替えていた。


穂香「えっと……航太くんは遊園地によく行くの?」


航太「うーん……小さい頃に行ったような気がするくらい」


穂香「ふーん……」


どことなくよそよそしく、緊張している雰囲気で話が全く続かない。


穂香(初デートってどうすればいいの?可愛く思われるには、どうすればいいの?どんな話をすれば盛り上がるの?)


穂香は初デートでプチパニックに陥っていた。
そこへ亜美が穂香に向かって走り寄ってくる。


亜美「いってらっしゃーいっ!!頑張るんだよっ!!」


亜美は嬉しそうに、穂香の背中をポンポンと叩くと、穂香は緊張して苦笑い。


穂香「う……うん。」


亜美は穂香の手を掴んで、少し航太から引き離した場所で耳打ちする。


亜美「初めてのデートって思うから緊張するんじゃん?別に二人で遊ぶって考えたらどう?」


穂香「うん……わかった……」


そんな二人を横目に見ていた航太は、小さく呟く。


航太「緊張するなら、人って3回手のひらに書いて飲み込めばいいのに……」


穂香と亜美は目を合わせて無言になった。


穂香、亜美(それちがーうっ!!
なんならもっとそっちが盛り上げてよーっ)


二人は心の中でそう思った。


(終業式終了後。学校の下駄箱置き場。終了)






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