婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。

3.上司で弟、でも夫



「本日付けで入社し、本プロジェクトのリーダーを仰せつかりました、天王寺妃乃です。
よろしくお願いします」


自己紹介して深々と頭を下げる私に対し、まばらな拍手が送られる。


「前職はある広告代理店で入社当時から企画制作を担当しておりました。
まだまだ未熟ですが、自分の経験を活かし皆様のお力添えをいただきながら、邁進していきたいと思っております。

よろしくお願いします」


もう一度深々とお辞儀する。
チラホラ「よろしくお願いします」という声は聞こえるけど、歓迎されていないのは何となく声色から察する。

当然か……突然中途入社してリーダー着任なんて、良く思われてなくても仕方ない。

それに――自分の左薬指にはめられた指輪をチラリと見やる。

こんなの、反感を買う要素しかない……。

その上、前職でも任されたことのない大きな仕事。
しかも自分が責任者なんて。

不安しかないし、本当は足がガクガク震えそうなのを必死に踏ん張って立っている。

でも、やるっきゃない!


チェスター株式会社クリエイティブセンター、それが私の新しい勤め先。

その中でも会社の命運が懸かっている一大プロジェクト「ベリーズランドプロジェクト」、通称Bプロ。
そのリーダーになんと、私天王寺妃乃が就任することになった。

つい1週間程前まではヒキニートだった私が、何故こんな転職をしたのかというと。


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