おともだち
 宮沢くんはそれからも、ごくごく気さくに接してくれた。別に普通のことなんだけど、相手が宮沢くんだと、ただ声を掛けてくれるだけで、向こうから声なんてかけてくれるんだと驚き、変に株が上がる。
 
 宮沢くんは案外普通に飲み会に参加してくれる。いつもすごく話しやすい。そして、私の隣の席になることが多い。何だろうか、勘違いか、うぬぼれか……。彼の綺麗な切れ長の瞳が、何かを言いたそうにしている。
 
 初めて彼を見る人は、まず驚く。かっこいい!って。そこからしばらく、この人の造形どうなってるのって見入る。ここまではみんな一緒だと思う。

 例えば彼が自分の恋人なら、わかりやすく自慢できると思う。 でも、絶対に彼女にはなれないから、最初からそのへんは諦めて接する。もし、彼が自分にある種の好意をもって近づいてきたら、絶対遊びだってわかっていたとしても、すこしずるそうなこの彼がどんなキスを……セックスをするのか期待と好奇心がうずく。絶対に断れないだろうな……。あくまでも想像上だけど。

 私は、彼の横でそんなことを考えていた。
 私と目を合わせようとすると、背の高い彼は意図せず伏し目がちになって、何とも、色っぽい。その目でじっと見られては、ひょっとして、と期待させる。自分の魅力を熟知しているくせにそれを使おうとしないところにも、肩透かしを食らう。

 どっちなんだろう。誘ってるのか、ただ思わせぶりなだけか。――何か、言ってくれないかな。

 結局この日も、彼は私の隣にいて、他の女性とは挨拶を交わす程度だった。どうしてだろう。たまたまかな。考えすぎかも。そう思えば思うほど、私は彼の事が気になっていた。 
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