月夜塔のヒカリ
 さて、どうしよう。
 周りの助けは期待しない方がいい。とはいっても、あいつらが勝手にどっか行ってくれるとも思わない。
 よし、決めた。
 あいつら誰か一人でもまた接触しようとしてきたら――『どうにか』しよう。
 こっちの立場は初めてだけれど、きっとうまくいく。
 ひ弱な女の子なんていう似合わないのをやってるのにも疲れたし。
 それに――あいつら、気にくわない。同情の余地無し。

 視線を、前の三人に戻す。相変わらずニタニタと笑っていた。
 この分だと、あと10秒ぐらいでまた来るはず。
 1、2、3、よん――

 そのカウントは、10まで行かなかった。
 7と8の間辺りで、消えた。
 私もあいつらも動いてない――動けなかった。
 けれどこの場は、さっきまでとは絶対的に違っている。

 変わらない5メートルの距離の間に
 あいつらに立ち向かうようにして――つまり、私に背を向けて仁王立ちをしている人が居た。
 そして言う。


「人の女に手ェだすな
    そいつは俺ンだ」

 
 違います。
 って、それ以前に、あなたは誰ですか。
 
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