桜の下で微笑むキミの夢を見る
─現在─
◇
・
桜の花はいつの間にかすっかり散ってしまい、部屋から見える桜の木には、生命力を感じさせる青々とした葉が茂っている。
次の春がやってくるまで、きっとこの木が桜の木であることを意識する人はほとんどいないだろう。
「めでたくドラマ化の話も決まったことですし、これから忙しくなりますよ~佑馬先生!」
今後の打ち合わせのために部屋に来ていた美人担当編集は、いつも通り小悪魔キャラ全開の声と上目遣いで言った。
そして言った直後、ある間違いに気が付いて「あっ」と口を押さえる。
「違った、莉桜先生。莉桜先生になったんでした~」
「慣れないですよね。良いですよ、呼び慣れた名前で呼んでもらって」
「そーゆーわけにもいきませんって! 大丈夫、すぐに慣れますよぉ。櫻田莉桜先生ってお名前も!」
フルネームにしてみると、これがなかなかにむずがゆい。
・
桜の花はいつの間にかすっかり散ってしまい、部屋から見える桜の木には、生命力を感じさせる青々とした葉が茂っている。
次の春がやってくるまで、きっとこの木が桜の木であることを意識する人はほとんどいないだろう。
「めでたくドラマ化の話も決まったことですし、これから忙しくなりますよ~佑馬先生!」
今後の打ち合わせのために部屋に来ていた美人担当編集は、いつも通り小悪魔キャラ全開の声と上目遣いで言った。
そして言った直後、ある間違いに気が付いて「あっ」と口を押さえる。
「違った、莉桜先生。莉桜先生になったんでした~」
「慣れないですよね。良いですよ、呼び慣れた名前で呼んでもらって」
「そーゆーわけにもいきませんって! 大丈夫、すぐに慣れますよぉ。櫻田莉桜先生ってお名前も!」
フルネームにしてみると、これがなかなかにむずがゆい。