チカ先輩のお気に入り。




靴を履き替えて、玄関にあるジョウロを持つ。
花壇のところに水道があるから、水はまだ入れなくても大丈夫。

久しぶりに裏庭行くなあ、と思いながらチカ先輩と歩く。


「そういえば雪桜、盗み聞きしたもんね」

「私ここで歩きながら鼻歌歌ってたんですよ」

「なにそれ面白いね、聞きたかったな」

「偶然告白現場見ちゃってほんと焦りましたよ」


あの時のことを、懐かしく感じながら話す。
歩くとガサガサ音が鳴るから、息ひそめてその場に待機するしかできなかったんだよね。

そのまま角を曲がると花壇が見えて。
そこには綺麗な赤い花が咲いていた。


「あ、ゼラニウムだ」

「詳しいの?」

「いえ、私の家の玄関に咲いてるんです」


赤いゼラニウムの花を見て、ふふっと笑う。
隣にある水道で水を汲んで、花壇に咲いている花に水やりをする。


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