君が笑えるように

もう一度会えたなら

それから1週間、私は思い出巡りを続けていた。でも秘密基地以外の全ての所を探しても目的のものは見つからなかった。
残るは、あの秘密基地だけ…
でも、あそこには理樹が居そうで怖くて行けない。でも、私は明日帰る予定。
行くなら今日しかない。
おばあちゃんは心配するかもだけど、少しでもいる可能性の低い夜に行こう。


そして夜、おばあちゃんも寝静まってから、私はベッドからそーっと出た。
夜だから、動きやすい服に着替える。
あらかじめ着る服は決めておいた。
モコモコのパジャマを脱ぎ、まず初めにスキニーを履いて、白のカットソーを着る。次にいつものネックレスをつけて小さめのリュックをからう。リュックの中身はあらかじめ用意していた。ちなみに中身は、懐中電灯や寒かった時の上着等々だ。最後に邪魔にならないよう髪をポニーテールにすれば完璧。
さぁ、行こうっ!思った時、
不意に鏡の中の私と目が合った。
心の声の割には、表情が怯えていてびっくりだ。そんなつもりはさらさら無いのに、本当は、やっぱり怖いらしい。
でも、行かなきゃ、
「大丈夫、できるよ。私はできる。きっと見つけられる。だから行こう。」
あれを見つければ私の中できっとなにか変わるはずなんだ。
そしてそーっと、ドアを開けた。
部屋の外は真っ暗だった。当たり前だけどおばあちゃんはもう寝ているらしい。起きる気配もない。それからもできるだけ音をたてないように気をつけながら、私は夜の家から抜け出した。
8 / 11
無事家の外に出ると、明るく輝く満月が見えた。だからなのか月明かりのおかげで、意外にも外の方が明るかった。
夜に外に出たことはあんまりなかったから、とても新鮮だ。それに、昼とは雰囲気も違いとても同じ場所だとは思えなかった。
なんだか神聖な場所にいるようなそんな気がした。
でも、幼い頃何度通ったか分からないくらい遊びに行った場所だ。忘れたり、間違ったりするはずは無い。
夜道を1人。私は黙々と歩き続けた。
そしたらあっという間に着いた。
やはり身体はちゃんと覚えてたみたいだ。
この獣道も夜に通るのは初めてだ。ほんのちょっとだけドキドキする。
でもそんなの入る前だけで、入ってしまえば何ともなかった。
獣道を抜けると、神秘的な空間が広がっていた。海と空の境目が分からない。でも、遠くの空には星も煌めいていて、海までもきらきらと輝いていた。昼は真っ白だった砂浜も今は、月の光に照らされて、淡く光ってるようだった。
私はしばらく魅入っていたが、ずっとそうはしてられないと思い出して、秘密基地の前に立った。
入口になっている木の葉達に手をかけ、そーっとずらす。
全部は見えないけど、多分誰もいない。
「ふぅーっ」
今度はもう普通に入った。
よし、探すぞ。
ってそう思って次の瞬間見つけたのは、
「あっ、」
美少年と犬だった…
こんな夜中にまでここにいるのか…
でも、両者とも寝てるみたいだ。
このまま、静かに探せば問題ないだろう。
そう思って、私は探し続けた。
木の椅子やテーブルの所や、宝箱など隠せそうなところは全て探した。1人と1匹の周りを除いて…
色々と懐かしいものはあったけど、目的のものは何も無かった。
「はぁ、どうしよう。なんで無いの?」
木の椅子に座り、1人絶望してたら私はいつの間にか寝ていたらしい。





9 / 11
「ん、んんーー」
なんか、もふもふ。あったかい。
「わんっ」
「もーやめてよぉー、もうちょい寝たいの。」
「わんっ」
「…って…ん?」
パチって目を開けた。
目の前に犬の顔…
「ルーキー?」
「わんっ」
ってことは…
周りを見渡すと、
理樹…
「やぁ!おはよう。思ったより早かったね。」
外はまだ暗かった。
「おは、よう?ってか今何時よ?!」
「君の時計によると、4時前?」
やば、結構寝てたみたいだ。
家に帰らなきゃだ。
もう今すぐにで逃げたい気分だけど、とりあえずこうするしかないよね…
「理樹、ここでこんなもの見なかった?」
私はネックレスを見せながら言った。
「知ってるよそれ。どこにあるのか。」
「教えて!どこにあるの?」
「ここにあるのさ。」
そう言って理樹が指したのさ自分の首元だった。
「信じらんない。なんで理樹が持ってるの…」
「まぁ、見つけたんだ。ここで」
「そっか」
でもこんなにずっとここにいるのなら有り得る話だよね、
なんで理樹はずっとここにいるのかな?
でもなんか、聞ける雰囲気じゃない。
とりあえず、
「返して?ネックレス。」
「嫌だよ。」
「なんで?こんなに探してたのよ!大事なものなんだってわかるでしょ?それに元々私のものよ!だから返して」
私は理樹に詰め寄っていた。
「わかったよ。今度はちゃんと渡すよ。ただし、条件がある。」
条件…
「何よ?」
「話してくれ、僕に。君をこんなにさせた理由を。口では強気なくせにずっと、辛そうな、寂しそうな顔をしている。何があったか話してくれないか?」
「…」
話す…?
そんなの嫌だ。誰にも話さないって決めたんだ。
でも話さない限りネックレスは諦めなくてはいけない。
それも嫌だ。
どうせ話しても話さなくても理樹は向こうでは合わないだろう。今日きりの関係だ。もう泣いてる姿も見られたし、、
「いいよ」
結局私はそう返事をした。
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