君がラクダになっても
 今朝も彼女はとてもかわいくて、僕の視線は当たり前のように引き寄せられた。
 僕がN極だとしたら、彼女は絶対S極を持っている。ものすごくドギツイS極の持ち主だ。

 彼女の存在に癒されながらも、僕は今日の彼女に違和感を覚えた。

 妙に背中の筋肉が発達している。

 彼女は最近、筋トレをしていると言っていたが、あんなにも背中を鍛えて何を目指しているんだろう……。
 
 僕は彼女の近くまで歩み寄り、朝の挨拶をしつつ、彼女の背中を凝視した。

 これは……!!
 なんということだ……!!
 
 彼女は、多分、やらかしている。
 ブラジャーを、前側と後ろ側を逆に付けているとしか思えないのだ。

 背中側にコブが横に2つ、まるで品種改良されたラクダのようにある。
 前のバストは、いつもよりも潰れているように思えた。
 
 すごくボケてるよ、今日のキミ……。
 
 でも、男の僕からブラジャーが後ろ前反対だなんて、いくら仲が良いからって言いづらい。
 かといって女子社員に、
『なあ、春野さんの背筋ヤバくね?』
 といって間違いに気づいてもらい、指摘してもらうというのも、彼女の恥を皆に広めているようで心苦しい。
 
 僕は、どうしたらいいんだ……!!
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