異世界に転生したら溺愛ロマンスが待っていました! 黒髪&黒目というだけで? 皇太子も騎士もみんなこの世界"好き"のハードル低すぎませんか? ~これサダシリーズ1【これぞ我がサダメ】~
第1話 ただ転んだだけなのに……。
生クリーム、イチゴ。
買った。
ろうそく、プレゼント。
買った。
さあ、早く帰らなくっちゃ。
今日はみんなの誕生日。
5月15日は忙しい。
うちの家族はなんと、わたし以外全員、誕生日が一緒。
父、母、妹、弟――の4人!
人に言うと必ず驚かれるけど、これが本当。
というわけで、毎年この日は家族みんなの誕生日をお祝いをわたしが準備することになっている……。
平日だと仕事があるし、生ものなんかはどうしても当日の買物になってしまうし、ひとりでパーティ料理を作るのって正直、めっちゃ大変。
だけど、いつの間にかこれが家族の普通になってしまっていて、なんだかんだ今年も。
ま、わたしもきらいじゃないんだけど。
ついでに言うと、もう亡くなったけど、おじいちゃんとおばあちゃんの月命日も15日というミラクル。
とにもかくにも、年に一度この日だけは、一家の夕食のすべてがわたしの肩にかかっている。
ああ、もうこんな時間。
急げ、急げ!
――ガクン!
一瞬のうちに視界がぶれて、わたしの体は支えを失った。
いつもの歩道橋。
えっ、うそ……。
足、踏み外した……?
うそぉぉぉぉぉっ――!
次に目を開いたそのとき、わたしは全く知らない町に立っていた。