叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 彼は目を光らせこちらを見た。射抜くような瞳。先程までの様子とは別人のようだった。

 「確かに失礼だったな、すまない。君のおばあさまにこの結果をどう話すつもりだ?」

 「ありのままに話します。相手の名前も知らずに来たあなたとは到底友達になれそうになかったって……」

 「俺も君に叱られたとおばあさまには伝えよう」

 こちらを見て口角を上げて笑っている。悪い笑い方。嫌だ、この人。適当か、怖いかどっちかじゃないの。

 タクシーを呼んで帰ろうとしたら、彼の運転手が待っていて、一緒に乗せられた。
 結局うちへ先に回って、下ろされた。車の中では話さなかった。
 
 「ありがとうございました。お元気で」

 そう言った私に、ひと言。

 「ああ、またな」

 そう言って私のことを見る。自信満々の笑顔で車の窓からこちらを見ている。
 そして、私が驚いている間に車はいなくなった。
 
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