叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

夢に向かって

 
 杉原さんと会ってから、玖生さんとは話せていなかった。時差もあるのでお互いほとんどメールだった。
 
 玖生さんのメールはいつも短くて単刀直入。それは、知り合った頃から変わらない。

 「由花、疲れた」とか、「由花、会いたい」とか……。
 
 そして、一ヶ月程度と最初予定していた渡米も、結局伸びそうだとメールが来ていた。

 私は杉原さんが直接会いに来たことを内緒にしていた。
 
 私の夢であった家元を継ぐという目標をとにかくできるだけ早く進めるために、中田さんに頼んでツインスターホテルで襲名披露をすることを決めた。

 日取りも当初計画していた日程で予約が取れたのですぐに通達し、各支部から参加者や招待客へのお誘いをあらかじめ決めていた招待状を発送するよう依頼し、本格的に準備を始めた。

 玖生さんとのことも、自分の事を片付けないと進まない。できるだけ早くやることが彼のためになると信じるしかなかった。

 おばあちゃんは家で床上げし、通常の生活が送れるようになってきた。ただ、外出などはまだ控えていた。
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