冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心
極上の独占欲

朝晩の気温がだいぶ過ごしやすくなった10月。
まどかが通う高校では、体育祭が行われる。

都内有数の進学校だというのに、意外にも毎年体育祭は盛り上がる。

「では、今からメンバーの割り振りをしますので、希望箇所に名前を書いて下さい。定員を超える箇所は、じゃんけんなりくじ引きで決めること」

LHRで体育祭の出場メンバー決めを行うことになり、クラス委員のまどかはいつもの通りに手際よく進めている。

次々と黒板に名前が記されて行く。

「まどかは見学だよね?」
「……うん。まだドクターストップ中だしね」
「じゃあ、私は美紀ちゃんたちと相談して名前書くね」
「うん、和香ごめんね」

肩の脱臼自体は治っているが、幼少期に同じ箇所を2度も脱臼したことがあるまどかは、家族と相談して運動系を控えるようにしている。
脱臼は癖になることがあるからだ。



放課後、体育祭実行委員の会議に参加したまどかは、いつもより1時間半ほど遅くに玄関へと。

「上條君?」
「委員会終わったのか?」
「あ、……うん」

玄関の下駄箱横に凭れるようにして立っていた彼。
まどかの姿を見つけて、手にしていたスマホをポケットにしまった。

「もしかして、……待っててくれたの?」
「……ん。この時間だと、電車混むから」
「っ……」

数か月前に痴漢に遭ったのを思い出した。
ラッシュ時の混雑は恐ろしくて、あの恐怖は二度と味わいたくない。

今までだって、今だって。
上條君はいつだって、さりげなく手を差し伸べてくれる。
ただのクラスメイトなのに……。

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